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[事例] カイオム・バイオサイエンス/普通社債と新株予約権ファイナンスの組み合わせによる14.1億円の資金調達

株式会社カイオム・バイオサイエンス

市場:東証グロース(4583)
業種:医薬品
事業概要:独自技術のADLib®システムやTribodyTM等の抗体作製技術を駆使して、アンメットニーズの高い疾患に対する抗体医薬の開発候補品創出に取り組むバイオベンチャー

当社グロース・キャピタルは、上場ベンチャーの株式での「資金調達」や「戦略的IR」を支援しています。
2024年7月に「医療のアンメットニーズに創薬の光を」をミッションに掲げ、抗体医薬の研究開発を手掛けるバイオベンチャー、株式会社カイオム・バイオサイエンスの普通社債と新株予約権ファイナンスの組み合わせによる14.1億円の資金調達をグロース・キャピタルが支援させて頂くことが発表されました。
今回の取り組みについて、カイオム・バイオサイエンスの取締役経営企画室長の美女平在彦氏と共に、グロース・キャピタル代表の嶺井政人が振り返りました。

案件概要

案件概要

普通社債+新株予約権で、14.1億円の資金を調達

嶺井:本日はお時間をいただきありがとうございます。今回のインタビューでは、2024年7月に発表された資金調達についてお伺いしたいと思います。具体的には、2.5億円の普通社債の発行と新株予約権(MSワラント12.7億円、固定ワラント1.4億円)を使った14.1億円のエクイティファイナンスを、グロース・キャピタルが担当いたしましたが、今回のファイナンスで重視されたポイントについてお聞かせください。

資金調達スキーム
2024.7.5 開示 資金調達の補足説明 P6

美女平:本日はよろしくお願いいたします。まずは、今回の資金調達に至った背景について簡単にお伝えしたいと思います。弊社のような創薬事業を手掛けるベンチャー企業においては、研究開発のための先行投資が必要になりますが、それらの資金の一部は収益からも充当しているものの、その大部分は資本市場からエクイティファイナンスを通じて調達することになります。
しかし、この1〜2年、バイオセクターを含む新興株式市場のパフォーマンスは非常に悪く、私たちも資金調達に苦戦していました。とはいえ、「パテントビジネス」である研究開発ビジネスは、いかに研究開発を最速最短で仕上げて、特許を出願し、ビジネス化を実現させるかが、競争優位性を保つうえでの肝となります。

こうした背景において、当社としては足元の研究開発資金ニーズを充足させつつ、安定的に研究開発を継続するための資金を確保したいと考えていました。そうした中で、グロース・キャピタルから提案があった「普通社債」と「新株予約権ファイナンス」がセットになっていたスキームは、当社のニーズをまさに満たすものであり、今回のファイナンスにおいて一番の決め手となりました。

嶺井:今回のファイナンスでは、社債を組み込むことで、まず2.5億円をアップフロントで調達して、その後、新株予約権の行使を通じて徐々にエクイティに変えていき、社債の償還に繋げるといった構造でファイナンスを実施することになりました。まず、社債発行は初めてのチャレンジだったと思いますが、社債発行を振り返ってみて、どのような感想をお持ちでしょうか。

美女平:社債発行は初めてでしたが、グロース・キャピタルと弁護士のご支援もあり、準備自体も非常にスムーズで、私たち発行体側の作業負荷もとても抑えられたと思います。実際の業務量としても、通常の新株予約権ファイナンスのみの枠組みとそれほど変わらない形で進めることができましたので、この座組みで取り組めたのはありがたかったですね。また、新株予約権の行使を待たずに普通社債によって2.5億円を即時調達することができ、足元の研究開発資金を手当てすることができたのも、研究開発型ベンチャーである当社にとって大きな意義がありました。

カイオム事例01

【プロフィール】 美女平在彦(びじょひら・ありひこ)

株式会社カイオム・バイオサイエンス取締役経営企画室長。大学在学中に産業育成研究所に入所。主に製造業の経営コンサルティング活動に従事した後、ファイザー株式会社の医薬部門、大鵬薬品株式会社の経理・海外事業部門と製薬会社で営業・事業計画立案・FP&A等の多岐に渡る業務を担当。2013年にカイオム・バイオサイエンスへ参画。2017年より取締役に就任し、経営企画室長となる。

「転換社債」を選択しなかった理由

嶺井:社債と新株予約権の組み合わせでは、「転換社債」と「新株予約権」という組み合わせが一般的なパターンではありますが、今回は転換社債を、「普通社債」と「固定ワラント」に分けることで、転換社債が有利子負債として残ってしまうリスクを抑える設計となっています。この枠組みについてはいかがでしょうか。

美女平:転換社債だと有利子負債として残存してしまうリスクに加えて、設計によっては株式の希薄化のコントロールができないため、既存の株主さんへの負担が大きくなってしまいます。私たちとしてはそうした事態は避けたいと考えていましたので、グロース・キャピタルからご提案いただいた、MSワラントで日々の行使を進めてエクイティに変えつつ、転換社債部分は「普通社債」と「固定ワラント」に分けるというスキームは、まさに私たちが求めていたものでした。さらに言えば、割当先であるグロース・キャピタルに「普通社債」の引受で、一定程度のリスクをとっていただいたことに感謝しています。

嶺井:ありがとうございます。私たちとしても御社とは昨年に続く2回目のファイナンスの取り組みということもあり、カイオム・バイオサイエンスがどういった会社さんなのかについて理解していましたし、エクイティファイナンスを進めるときに、どれくらいのペースでエクイティが積み上がっていくのかを事前に想定することができたこともあり、今回のスキームをご提案することができたと考えています。

美女平:設計の中でも「固定ワラント」での調達額を普通社債に対応した2.5億円ではなく、1.4億円に設定することで、全体の希薄化率を抑えることもできましたので、株主さんにも説明しやすい形になったと感じています。またMSワラントについても株価を意識しながら安定的に行使を頂いており感謝しています。

カイオム事例02

嶺井:結果的に転換社債を2.5億円出すよりも希薄化を抑えられる形となり、割当サイドとしてもうれしく思っています。私たちグロース・キャピタルが提供する支援は、ファイナンスを実施して終わりではなく、成長支援、個人投資家向けIR支援と続いていきますので、これからもよろしくお願いいたします。

美女平:引き続きよろしくお願いいたします。

(了)