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[事例] デ・ウエスタン・セラピテクス研究所/個人投資家向けIR支援&グロース・キャピタルとADLによるパイプラインの次フェーズにおける自社開発と導出のPros/Cons整理

当社グロース・キャピタルは、上場ベンチャーの株式での「資金調達」や「戦略的IR」を支援しています。

「日本発の画期的な新薬を世界へ」という理念のもとに医薬品の研究開発を手掛ける上場バイオベンチャー、株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所(以下、DWTI)の個人投資家向けIRと、アーサー・ディ・リトル(以下、ADL)と共同でのパイプラインの次フェーズにおける自社開発と導出のPros/Cons整理の支援を当社グロース・キャピタルが行いました。

今回の取り組みについて、DWTIの日高有一社長、松原さや子取締役、山北真子経営管理部部長と共に、グロース・キャピタル代表の嶺井が振り返りました。

■ IR領域における課題への打ち手としての参加者1,000人以上のIRイベント

嶺井:本日はお時間をいただきありがとうございます。今回のインタビューでは、個人投資家向けIR支援および、グロース・キャピタルとADLとの取り組みについて振り返りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
最初に、御社における個人投資家向けIRの位置づけについて、お聞かせください。

日高:私たちデ・ウエスタン・セラピテクス研究所は、グロース市場に上場しているバイオベンチャーです。研究開発型という特徴を有するバイオベンチャーとしては、開発資金の確保に向けて、株式を活用したファイナンスも含めた資金調達の選択肢を常に持ちたいと考えています。そこに向けて、適切な株価・流動性を形成するために、当社にとって個人投資家とのコミュニケーションは非常に重要です。但し、イベントに参加いただく個人投資家の当社に対する認知度は2〜3%と決して高くありません。そのため、できるだけ多くの個人投資家に会社の目的、存在意義、成長性について知っていただきたいと常々考え、これまで対策を練ってきました。

株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 日高有一 代表取締役社長

嶺井:個人投資家向けIRのこれまでのお取り組み状況や、その中で、どのような点に特に課題感をお持ちでしたでしょうか。

山北:最低でも年間2回はイベントに参加するようにしていましたが、個人投資家からの反響やIRの費用対効果を把握するのが難しく、正解か否か確信がもてない状態でIR活動を続けてきたというのが実際のところです。

嶺井:今までのイベントでは、どれくらいの個人投資家が参加されていましたでしょうか。

山北:オフライン会場の場合は、50人〜100人、多くても200人くらいです。オンラインのイベントにも登壇してきましたが、最大で100人程度でした。そのため、今回のグロース・キャピタルのイベントのように、参加者数が1,000人以上というのは初めてのことであり、多くの個人投資家の認知に繋がり、大変有益だったと感じています。

嶺井:実際に、ご登壇された印象はいかがでしょうか。

日高:事前にブリーフィングがあったことで、他の登壇者の方々のお人柄がわかったり、チームの一体感が生まれたのはよかったですね。個人的には、みなさん、お話が上手そうだったので、プレッシャーを感じてしまいましたが(笑)。

山北:イベントによっては、他の企業の方とは登壇時にすれ違うだけということもありますので、全員で「今日はがんばりましょう!」という空気感を共有できたのは嬉しかったですね。

日高:普段、他社の説明を聞く機会はあまりないのですが、今回のイベントに登壇された会社は、個人投資家に対して、戦略的にわかりやすく説明しようとされている意欲的な会社ばかりで、私自身、とても勉強になりました。

■ 詳細な振り返り資料で見えてきた個人投資家向けIRの改善点と可能性

嶺井:御社の登壇後に、弊社が参加者に対して調査を実施し、参加者の購入率(参加した個人投資家がイベント後2週間以内に登壇企業の株式を購入した比率)や属性別(性別・年代)の投資評価等の分析結果をもとに振り返り会を行いましたが、その点についてはいかがでしょうか。

山北:これまで多くのイベントに参加しましたが、あそこまで詳細な調査結果を共有していただいたのは初めてでしたし、自由記述でのコメントが多いのにも驚きました。御社と個人投資家との信頼関係があるからこそ、生の声が多く集まったと感じています。

日高:もちろん、厳しいコメントもありましたが、通常のイベントに比べると、距離感が近いご意見が多かったようにも思いました。

嶺井:年配の参加者が多い場合、フィードバックが少ない傾向がありますが、当社のイベントの参加者は40代が一番のボリュームゾーンということもあり、積極的なフィードバックが多かったのかもしれません。ちなみに、2週間以内での購入率は、1.6%でしたが、この数字についてはいかがでしょうか。

山北:他のイベントではこういった数字のフィードバックはなく、登壇して終わりというパターンがほとんどです。そのため、購入いただいたことが把握でき、純粋に嬉しかったです。今回のフィードバックをもとにIRの資料やプレゼンテーションを改善させることで、購入率の向上に繋げていきたいと思いますし、そうすることで、今後の個人投資家向けIR活動がより効果的なものになるのではないかと期待しています。

株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 松原さや子 取締役

■ 外部のパートナーと連携することで客観的な視点を確保する

嶺井:ここからは弊社とADLの共同で行ったご支援についてお聞きしたいと思います。ADLとの取り組みを開始するにあたって、御社が抱えていた課題についてお聞かせください。

日高:まず、弊社では上場以降、開示資料の作成や戦略策定については外部の力を借りずに自社だけで行ってきました。それは当社のことを本当に深く理解したうえでアウトプットを出すことは外部の方には難しいだろうと考えていたからです。しかし、今回支援頂いた「パイプラインの次フェーズにおける自社開発と導出のPros/Cons整理」は弊社にとって非常に重要、且つ難易度の高いテーマであり、外部の専門家の力も借りた方が良いと考え、嶺井さんからADLとの共同での支援提案を頂き、取り組んで頂くことにしました。

戦略コンサルタントと協業することは初めての経験だったこともあり、実は最初は、当社のことをどこまで深くご理解いただけるのか少し懐疑的な思いもあったのですが、当社、グロース・キャピタル、ADLの3社で一緒にプロジェクトを進めていく過程で、グロース・キャピタルとADLが私たちのために、数字として説得力のあるアウトプットを出そうとされていることが理解できましたし、最終的なアウトプットも、論理的にもしっかりしていて、最高のクオリティでした。

松原:ADLには具体的には類似疾患領域でのライセンス事例、導出時に競合となりうる類似疾患領域の後期フェーズパイプライン、有力な導出候補先(=類似疾患領域で特許切れが近い製品を抱えるプレイヤー)、類似疾患領域における各フェーズの成功確率、自社開発する場合の戦略的意義などの整理を行っていただきました。

大手の製薬会社であれば、自社でも様々なツールをもっているのかもしれませんが、私たちの規模では自社で調べられる範囲には限りがあります。その点、ADLはノウハウをお持ちでしたし、私たちだけでは思いつかない切り口でデータを分析してくださったので、こうした客観的なデータをもとに社内での議論も深めることができました。

日高:今回のアウトプットは、社内で戦略を検討するときの討議資料としてはもちろんですが、それに加えて、事業計画及び成長可能性に関する資料でも一部活用させていただきました。

2024.2.9開示 事業計画及び成長可能性に関する事項 P29

松原:私たちが直感的に感じていたり、事例でいくつかは把握していたものについて、海外の事例を含めて説得力あるデータとしてまとめていただいた点が、とてもありがたかったです。

日高:嶺井さんからADLとの取り組みのお話を伺ったときは半信半疑でした。当社には、外部に相談する経験はあまりありませんでしたし、ウィンウィンの関係構築は難しいのではないかとも思っていました。でも、お付き合いするうちに、グロース・キャピタルとADLからの提案は私たちのウィンをしっかりと考えてくださっていると感じられたので、当社としても抱えている課題について率直に共有しながら進めることができました。3社での信頼関係が構築できたからこそ、よい結果となったと思います。

株式会社デ・ウエスタン・セラピテクス研究所 山北真子 経営管理部部長

■ グロース・キャピタルとの取り組みで「コスト」を「アセット」に変える

嶺井:最後に、読者に対して、今回の取り組みを踏まえたうえでアドバイスをいただけますか。

日高:バイオテック企業の場合、リーダーであるCEOや研究者の仮説を補うデータが必要になるわけですが、それを集められる知見とリソースが社内に十分にあるかといえば、現実問題としては難しいと私は思います。その観点でいえば、今回のようなグロース・キャピタルとADLのソリューションはバイオテックには非常に理にかなっているのではないでしょうか。

松原:そもそも、バイオベンチャーは特殊な分野ということもあり、外部の知見を取り入れるのは簡単ではないと考えていました。ただ、今回に関しては、グロース・キャピタルがつないでくださったことで、ADLと有意義な連携ができたと思っています。世界のデータにアクセスできるADLと一緒に取り組むことで、海外の知見を吸収できたり、視野を広げることができました。ディスカッションパートナーを探しているバイオベンチャーは、グロース・キャピタルに相談してみると突破口が見つかるのではないでしょうか。

山北:IRの側面では、これまで参加したイベントの中で一番、次につながる「気づき」があったと感じています。当たり前のことですが、イベントに参加するには費用も時間もかかります。でも、今回のイベントに関しては、「次はこんなことをやるといいのではないか」というステップが見えたという意味で、コストがアセットに変化したような感覚をもっています。多くの上場バイオベンチャーが個人投資家向けIRに何らかの課題をお持ちだと思いますので、グロース・キャピタルの個人投資家向けIR支援が力になってくれるのではないでしょうか。

嶺井:ありがとうございます。グロース・キャピタルは引き続き上場バイオベンチャーの皆さまのお役に立てるよう取り組んでまいりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

日高・松原・山北:今後ともよろしくお願いいたします。

(了)